11月20日から開幕した「東京モーターショー2013」。4輪車、2輪車の最新モデルが集結する2年に一度の一大イベントとなっているが、ここでは国内大手2輪車メーカーのうち川崎重工業とヤマハ発動機の展示内容をお届けする。
未来を感じさせる変形可能な3輪電動ビークルを展示したカワサキ
最も突き抜けたコンセプトモデルを展示しているのがカワサキだろう。電動3輪ビークルの「J」と呼ばれる車両は、ホイールベースが長 く、地を這うがごとく異常に低い車高になっている。前輪が2本、後輪が1本のスリーホイーラーで、タイヤはホワイトとグレーに塗り分けられ、車体はカワサ キのコーポレートカラーであるグリーンがあしらわれている。動力は大容量ニッケル水素電池「GIGACELL」を採用したモーター。展示物はモックアップ のため動かないが、走行中に変形してスポーティな走りを楽しめる低い重心の「スポーツモード」と、2本の前輪を左右に開いて車高を上げ、リラックスした体 勢で乗れる「コンフォートモード」の2パターンに自由に切り替えられるという。一見するだけで未来を予感させるわくわくするような乗り物だが、カワサキによれば、これは単に「やろうと思えばこういうことができ る、ということのアピール」だという。他社が電動2輪車などエコに関わる製品展開を進めている中、カワサキだけが「何もやっていないのではないか」と思わ れがちであることから、今回のコンセプトモデルを出展したとのこと。同社としては市販はまったく考えておらず、むしろ今の時点では「50~60km程度の 航続距離しか達成できないのであれば、やりたくない」としている。
「今までエンジンだったものを単純にモーターにしました」というだけでは、趣味性の高い乗り物であるバイクのユーザーには刺さらない だろうと考えているようだ。実際のところ「J」は、保安部品が装着されていないこともあるが、車幅や車高が可変であり、現行の道路交通法上は公道走行が許 されないため、この形を現実のものとするには課題が多そうだ。
その他、アウトローな雰囲気をイメージした新しい「Z1000」も展示されている。リッターエンジンを搭載し街乗りに特化したという この「Z1000」は、LEDヘッドライトを採用するなど昨今の流行を取り入れながらも、あえて無骨でワイルドな味付けを施すために、後輪出力をスイッチ で変更できるパワーモードや、スリップを抑制するトラクションコントロールといった電子制御をあえて装備していないのが特徴だ。
また、クラシカルなスタイルの250ccバイク「ESTRELLA(エストレア)」のニューモデルも登場した。カワサキは、この 「ESTRELLA」や「W800」、「Z250」をはじめとする気軽に乗りやすい「ファミリーブランド」のバイクの重要性を追求していきたいとしてお り、「ESTRELLA」については多数のメーカーオプションを設定して一層販売に力を入れていく方針だ。たとえば高速道路のクルージングに適した大型の ウィンドスクリーンや、カフェレーサー風のカウル、長距離ツーリング時に便利な厚みのあるシートや大容量サイドパニアなど、「ESTRELLA」に簡単に 取り付けてカスタマイズを楽しみつつ、ユーザーの用途に合わせられるさまざまな製品を発売していくという。
ヤマハはクォータースポーツ「R25」が目玉。電動スポーツの「PES1」「PED1」も出展
2輪車メーカーであるヤマハ発動機は、まさかの「MOTIV(モティフ)」という4輪自動車の公開で度肝を抜いたが、もちろん2輪車 のラインアップも盛りだくさんだ。まず、「YZF-R1」「YZF-R6」といったスーパースポーツの系譜を受け継ぐ「R25」を初公開。新開発の直列2 気筒249ccエンジンは、高回転域でのパワフルな走りを追求しているという。250ccクラスのスポーツモデルは、すでに他の国内3メーカーが数年前から順次投入しており、ヤマハが最後発。そのため、スペッ ク、価格のバランスを取りつつ、「ハンドリング、基本的な走行性能を煮詰め、走りの面で(他社250ccバイクに)負けないよう、多くのユーザーが満足い くようなモデルに仕上げた」としている。2014年に市販化を予定しているが、展示車両はあくまでも試作車。保安部品もなく、マフラーも社外品が装着され ている。市販化の際にはこれらが改められるほか、前傾過ぎるハンドルポジションも街乗りなどを考慮して調整される予定とのこと。
電動バイク2モデルも参考出展。「日常の足ではなく、スポーツを楽しめる」モデルの提案として、ロードモデルの「PES1」、オフ ロードモデルの「PED1」という2車種で展開する。50cc相当以上の出力を誇るモノコック構造の「ヤマハ・スマートパワー・モジュール」は、同じもの を2車種で共用。「PES1」は、通常のバイクであれば燃料タンクになっている部分が空洞になっており、シートの後部も大きく口を開けているような形状に なっているのが特徴的。車両重量100kg以下というスペックと合わせ、電動バイクであることを強くイメージさせる。「PED1」は想定車両重量が 85kg以下と軽い。これらは2年後をめどに商品化を進める計画だ。
「TRICITY Concept」は、欧州で人気の高いスリーホイーラー。前輪が2本、後輪が1本となっているこのスタイルは、イタリアのピアジオが「MP3」というモデ ルで先鞭を付け、他のメーカーからもいくつかのモデルが発売されているが、いずれも比較的排気量が大きく、値段も高額。それに対し「TRICITY Concept」は125ccと小排気量で、車重も150kg以下と軽量・コンパクト。市販時の価格も40万円以下とかなり安価になる。開発者によれば、 「安心感、スポーティさを前面に出し、ひらひらと思いのままに操れる実感が得られるはず。特にフロントのグリップ感にこだわった」と話し、「2輪に乗って いた人はもちろん、2輪に興味のなかった人も取り込みたい」としている。2014年の発売を目指している。
すでに発売しているクルーザーモデル「BOLT」のカスタマイズコンセプトとして出展されていたのが、「BOLT Cafe」。元のクルーザーから大きくシルエットの変わったカフェレーサースタイルが魅力だ。「BOLT Cafe」はあくまでも「BOLTがカスタマイズしやすいバイクであることをアピールするため」に企画されたモデル。市販化の予定はないが、実際にはハン ドル、シート、シートカウル、シートレール、リアサスペンションなどを変更するだけで似たシルエットになるとのことで、「10~15万円ほどで同様のカ フェレーサースタイルにできるのではないか」とのことだった。
YPJ-01(イプシロン プロジェクト ゼロワン)は、20周年を迎えた電動アシスト自転車「PAS(パス)」の次なる20年を見据えて作られたモデル。最小・最軽量クラスのドライブユニット& バッテリーにスポーティで美しい車体を組み合わせた。スマートフォンと車体情報を連動させたサービス機能も備える。
VIKING FI 4×4 EPSは、すでに北米で販売している4輪車。686ccの単気筒エンジンを備え、サスストロークは220mm。フロントタイヤはAT25 x 8-12、リアタイヤはAT25 x 10-12で、2WD、4WD、4WD直結の3つの駆動システムを切り替え可能。
そのほか、ヤマハブースには4輪車参入を意識した「MOTIV(モティフ)」が展示されている。モティフに関しては、別記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2013tokyo/20131120_624508.html)を参照していただきたい。
URL
- 東京モーターショー2013
- http://www.tokyo-mo
torshow.com/ - 川崎重工業株式会社
- http://www.khi.co.jp/
- ヤマハ発動機株式会社
- http://www.yamaha-m
otor.co.jp/
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