キヤノンの高倍率ズームコンパクト機「PowerShot SX200 IS」の後継となる、「PowerShot SX210 IS」が3月12日に発売された。
前モデルの「PowerShot SX200 IS」との大きな違いは、光学ズームが12倍から14倍となり、望遠側が35mm判換算で392mm相当までとなっている点。また、開放F値は広角側がF3.4からF3.1と若干明るくなっていて、反対に望遠端はF5.3からF5.9になった。
撮像素子は1/2.3型CCDと同サイズながら、画素数は約1,210万画素から少し上がり約1,410万画素になった。背面液晶モニターは変わらず約23万ドットの3型。選べるボディーカラーは3種類、パープル、ブラック、ゴールドと派手なカラーが特徴だ。
■ ズーム倍率アップもデザインはよりスタイリッシュに
もう1つ特徴的なのがボディデザインで、前モデルに比べて大変スタイリッシュになっている。本体の厚さも5.7mm薄くなり、レンズ周りがボディと同色になったためそれほどレンズの大きさが目立たないのもデザインに貢献しているだろう。また、ボディー外周が少しくぼんでいて、ホールディングしたときに指が自然にその部分に掛かるようになっている。これにより指掛かりの少ないコンパクトカメラの不安定さを解消している。
ボタン配置にも改良が加えられていている。前モデルでは本体上部にあったモードダイヤルが背面液晶モニターの隣になり、コントローラーホイール、再生、メニューボタンなどの各種操作部が集中した配置である。モードダイヤルのクリック感は少し固い感じもするが、不用意に動くよりはいいだろう。なお、シャッターボタンと同軸のズームレバーは廃止され、独立したズームレバーに変更されている。ただ、少しレバーが小さいのでこの辺りは使い勝手に好みが分かれるところ。
モードダイヤルが背面に移った | ズームはシャッターボタン隣のレバーで行なう |
重量は、前モデルより5g軽い215g(本体のみ)。数あるコンパクトデジタルカメラと比べても少しずっしりした印象ではあるが、ホールディングのよさと相まって特に不利なポイントとは考えられないだろう。
レンズは28~392mm相当(35mm判換算)の14倍ズーム | 比較的コンパクトなボディに14倍ズームレンズを内蔵 |
広角端時 | 望遠端時 |
電源を入れることで、レンズ鏡胴が伸び撮影体勢に入るわけだが、同時にストロボも自動的に起き上がる。しかし、このストロボは、使わない場合は指で押し下げることも可能だし、逆に押し上げることもできる。「PowerShot SX200 IS」では無理にストロボを動かすことはできなかったようだ。だが、このモデルは説明書に「ストロボが格納されていたら指で上げてください」とあるように、ストロボが気になるようであれば格納して撮影は可能である。
自動的にポップアップするストロボを内蔵している |
■ ジオラマ風写真も撮影可能に
実際の撮影機能だが、コンパクトデジカメながらプログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AEの各モードが備わっている。また、前モデルから搭載された「こだわりオート」を引き継ぎ、かつそのオート機能に「ぴったりフラッシュ」という新機能を搭載した。
こだわりオートは被写体をカメラが22のシーンに自動的に判断し、例えば人物がいれば顔認識(フェイスキャッチテクノロジー)が働き、動きのある被写体であればAFがサーボになりピントと露出をあわせてくれる(モーションキャッチテクノロジー)というもので、まったくのカメラ初心者でも、シーンごとの設定に迷うことなく、手軽に失敗が少なく写真を撮影できるというものだ。
またぴったりフラッシュだが、近距離での白トビや、逆光時での光量不足、黒ツブレといった失敗は内蔵ストロボにおいて意外と多いようで、その要因となる、撮影距離や反射率をカメラが自動判断して撮影してくれるわけだ。実際に使用してみて、特に近距離でのストロボ撮影を通常の強制発光と比べた場合、こだわりオートでストロボ撮影した写真のほうがより自然な雰囲気で撮影できた。ただ、1つ注意したいのが、あくまでも全自動撮影であるこだわりオート時にストロボを発光した際に自動的にぴったりフラッシュ機能が働くのであって、個別に「ぴったりフラッシュ」という設定を選択することはできない。
液晶モニターは3型 | HDMI端子も備える |
そのほか、新しく搭載された機能として、シーンモードの中に、ローライト、ジオラマ風、魚眼風モードが備わった。暗いシーンで感度を上げて撮影するローライトモードは、通常、任意で設定できる感度の上限がISO3200までなのに対し、最高ISO6400で撮影できる。ジオラマモードはピント位置を極端に変化して撮影することで、ミニチュアのような写真を撮影でき、魚眼モードはその名の通り魚眼レンズを使ったような表現が可能である。
関連する撮影画像を次々に再生できる「連想再生」機能も新たに搭載 | 関連の有りそうな画像を上下左右に自動的に選んで表示してくれる |
■ まとめ
画質の点で言えば高倍率ズーム機としては優秀で、色の隔たりはかなり少なく、素直な絵作りの写真を得られる。解像力が際立って高いとは言わないまでも、ズーム比による画質の違いが少ない点に満足することができる。ただ、広角側の歪曲収差は特に平面的な被写体を撮影した場合に顕著に現れるので、そういった被写体の場合は少しズーミングして撮影するといいだろう。
ノイズリダクションの効果も相まってかISO400までは特にノイズは気にならない。さすがにISO800辺りからは目立つようになるが、実用上は差し支えないだろう。コンパクト機における高感度時のノイズ軽減は確実に進歩しているが、この点はこれからもまだもう少し進化してくるのではないだろうか。
ともあれ、28mm相当からの14倍ズームというだけでも幅広い撮影ができるし、こだわりオートがあるので初心者でも手軽に撮影を楽しむことができる。もちろんデジタル一眼レフカメラ同様の露出制御も備わっているから、絞りを生かした撮影、シャッター速度を生かした撮影も可能だ。また1,280×720ピクセル、30fpsのHD動画も撮影できるので、この1台で身近な記録から、イベントやちょっとしたスナップ撮影に活躍してくれるカメラになるだろう。
バッテリー室とSDXC/SDHC/SDメモリーカードスロットは底面に配置 | 付属のバッテリーと充電器 |
■ 実写サンプル
※サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウインドウで表示します。
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