Netbookに限らず、ノートPCでも世界トップシェアの一角を占めるまでになった台湾PCベンダー。PCパーツとともに日本のユーザーに大きな影響を与えるまでに成長した彼らの2010年を占う「COMPUTEX TAIPEI 2010」が始まる。Netbook、CULVノートPCに次ぐ一手となる新型ノートPCや、2011年に向けてPCパーツ市場を引っ張る新モデルが登場する予定だ。台湾ベンダーが本格的に参入する電子ブックリーダーもその姿が明らかになる。2010年のデジタルガジェットはどうなる!
COMPUTEX TAIPEI 2010は6月1日から始まる、が、前日から多数の事前発表会が行われた。MSIは、タブレットPCや立体視PCのほか、ユニークなコンセプトも披露した。
CeBIT 2010からさらに充実した新機軸のモデルたち
MSIがCOMPUTEX TAIPEI 2010の開幕に先立ち公開したのは、CeBIT 2010で登場してそのハイエンドなスペックと、DYNAUDIOの協力を得てデザインされたサウンドシステムが特徴のゲーミングノートPC「GT660」をはじめとする多数の“新モデル”だ。
タブレットタイプの「Wind Pad 100シリーズ」や、立体視に対応したAIO(液晶一体型PC)の「Wind Top 2420 3D」、そして、液晶ディスプレイではなくキーボード部分が反転してタッチパネルインタフェースになる「Sketch Book」など、ほかには見られないユニークなギミックを採用したコンセプトモデルなどが注目された。
展示されていたサンプルの説明によると、「Wind Pad 100シリーズ」はCPUにAtom(グラフィックコアとしてIntel GMA 3150を統合した“Pineview-M”世代)を採用し、10型ワイドのタッチパネル液晶ディスプレイを搭載する。重さは約800グラムとされていて、バッテリー駆動は8時間以上可能だという。
インタフェースにはUSBのほかHDMIも備え、無線接続ではWi-Fiだけでなく3GによるWWLANにも対応する。さらに、高解像度のWebカメラやGPSも内蔵する。MSIが配布した資料では、OSとしてWindows 7をプリインストールするとされているが、あわせて、マルチタッチ操作を実現するMSIの独自技術「Wind Pad multi-touch control technology」を導入するとしている。

MSIが公開したタブレットPC「Wind Pad 100シリーズ」は10型ワイド液晶ディスプレイを搭載した重さ約800グラムのAtomマシンだ。展示サンプルのデータストレージ容量は30Gバイトと示されている(写真=左)。背面の「バリエーション」パネルとして、アルミナ、プラスチック、そして竹素材の「バンブー」が用意される予定だ(写真=右)
導入されるOSはWindows 7(現時点でエディションは不明)だが、MSIが独自に用意した「Wind Pad multi-touch control technology」が導入されるという(写真=左)。Wind Pad 100シリーズにはドッキングステーションが用意され、液晶ディスプレイのように本体を載せられるほか、インタフェースとして背面にUSB 2.0×3、HDMI、有線LANを備える予定だ(写真=右)ぐりぐり回るのはキーボードだった
「Sketch Book」は、ボディに導入されたユニークなギミックが注目を集めた。液晶ディスプレイ部分が回転してクラムシェルのノートPCからスレートタイプのタブレットPCへ姿を変えるコンバーチブルモデルはこれまでも多数あるが、Sketch Bookは、ボディの前寄りに設置されたキーボードユニットが回転する。キーボードのある面が裏側に回ると、それまで底面にあったタッチパネルが表になって、タッチ操作が可能になる。
MSIは、CeBIT 2010でタッチパネルを組み込んだデュアルディスプレイ搭載のノートPCのサンプルを展示していたが、Sketch Bookは、そのデュアルディスプレイのノートPCにキーボードも搭載したことになる。
それ以外でも、キーボード/タッチパネルユニットの右側奥にホイール型の「Jog Shuttle Controller」を設けるなど、ユーザーインタフェースの直感的に使える斬新なアイデアを積極的に取り入れたことがSketch Bookの特徴といえるだろう。

「Sketch Book」の特徴は、なんといってもキーボード部分が回転する本体のギミックだ。キーボードユニットを回転させると(写真=左)、それまで、底面にあったタッチパネル面が表になって、手書き入力やタッチ操作が可能になる。あら、びっくり(写真=右)立体視対応PCが“多数”。立体視対応ヘッドセットも登場!
立体視に対応するAIOとして紹介されたのは、マルチタッチに対応する24型ワイド液晶ディスプレイを搭載する「AE2420 3D」だ。立体視対応AIOは、3月に行われたCeBIT 2010でも参考展示されていたが、COMPUTEX TAIPEI 2010では、MSIの「3D Station technology」を導入した世界初の立体視マルチタッチ対応AIOとして紹介された。液晶ディスプレイは120Hzの垂直同期をサポートし、1080PのフルHD動画でも立体視再生が可能だ。

世界初の立体視マルチタッチ対応AIOとして紹介された「AE2420 3D」は、1080pのフルHD動画の立体視再生に対応するほか、USB 3.0のサポートなど、PCとしての基本性能もこれまでのAEシリーズから向上させている(写真=左)。事前説明会の会場には、MSI最強のゲーミングノートPCとしてMSIが2010年に最も力を入れる「GT660」の立体視対応バージョンが展示されていた(写真=右)このほか、事前説明会では、ゲーム利用を想定した立体視対応ゴーグルとヘッドセットをパッケージにした「Wind 3D Armor」が紹介されたほか、PCパーツでは、「Big Bang Fuzion」、「Big Bang XPower」、「Lightning」などマザーボード、グラフィックスカードのハイエンドシリーズや、「OC Genie」、「Afterburner」といったオーバークロックツールをアピールした。また、2010年にリリースが予定されている「3DMark11」のデモがMSIの展示ブースで行われることがあわせて予告された。
なお、事前説明会で登場した製品については、開幕後のブース取材記事で、より詳しく紹介する予定だ。

ゲームユーザーが立体視対応タイトルを存分に遊ぶ倒すために用意される「Wind 3D Armor」は、立体視対応ゴーグルとヘッドセットを組み合わせた、“かっこいい”アイテムだ(写真=左)。ゲストスピーカーとして登場したインテルからは、まもなく“正式”発表予定のCore i7-875KとCore i5-655Kが紹介された(写真=右)http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1006/01/news088.html
COMPUTEX TAIPEI 2010が開幕して展示ブースも公開された。MSIブースで確認した「Sketch Book」続報と「GUS」の詳細、「3DMark 11」世界初デモを紹介する。
Sketch Bookの詳細に迫る!(……まだ決まっていないが)
COMPUTEX TAIPEI 2010開幕前日に行われた事前説明会で、キーボードユニットが回転してデジタイザが現れるユニークなギミックで注目を集めた「Sketch Book」が展示ブースのガラスケースにホワイトとブラックのカラーバリエーションで展示されている(事前説明会の詳細は「MSI がタブレットPC「Wind Pad」やコンセプトモデル「Sketch Book」などを公開」を参照のこと)。
コンセプトモデルということで、製品化の予定や出荷時期、スペックは確定していないとのことだが、展示されているサンプルでは、ボディサイズ、重さなどのハードウェアスペックについて、Pine-trail Mプラットフォームを採用する薄型Netbookの「Wind U160」を想定しているという。
キーボードユニットが回転して底面にあったデジタイザが表側になり、それに代わってキーボードは底面側になる。MSIの説明によると底面側になったデバイスは自動でDisable状態になり、逆に表側になったデバイスも自動でEnableに移行する。Sketch Bookのデジタイザはワコム製で、専用の電子ペンでのみ操作する。そのため、指によるタッチ操作はできない。指を使った操作のために、円形のタッチパッドをキーボード/デジタイザユニットの右側奥に用意したとMSIは説明している。

キーボード/デジタイザユニットが回転するギミックに注目が集まった「Sketch Pad」は(写真=左)、天面に多数の凹凸を設けたデザインが施されている。この意味について、MSIは「砂丘の風紋と革張りソファーのデザインを意識した」と説明している(写真=右)
製品化も決まっていないため、本体搭載のインタフェースも含めてハードウェアのスペックは確定していないが、サイズ、重さなど展示サンプルの“仮想目標”として「Wind U160」を想定している。左側面には特にインタフェースを設けず、右側面にカードリーダーと2基のUSB、そして、キーボード/デジタイザユニットの回転をロックするスライドバーを用意する(写真=右)MSIがCeBIT 2010に展示していたデュアルディスプレイ搭載ノートPCでは、そのコンセプトの1つに、タッチパネルを組み込んだ本体側の液晶ディスプレイで、マンマシンインタフェースのレイアウトを柔軟に変更できることが挙げられていたが、Sketch Bookは、そのコンセプトにキーボードを組み込んだような形状になっている。このことについて、MSIのスタッフに確認したところ、Sketch Bookはデュアルディスプレイ搭載ノートPCとは、まったく別な系列として開発しているもので、フィードバックで派生したモデルではないと答えた。
ただ、CeBIT 2010で展示されていたデュアルディスプレイ搭載ノートPCについてMSIは、液晶ディスプレイを2枚搭載することで、ボディが厚く、かつ重くなることや、コストが高くなるといったフィードバックが多く、現在改善中とのことだ。こちらも製品化の予定は確定していないが、搭載するディスプレイの価格が下がり、薄く軽くなったときに、製品化が実現するだろうとMSIは説明している。

デジタイザエリアの両脇に配置された4つのスクエアは、ユーザーがカスタマイズ可能な操作ボタンだ。ワコムのデジタイザを採用しており、専用のペンで操作する(写真=左)。底面側になったデバイスは自動でDisablleになるので、間違って入力されることはない。さらに、底面に設置されたゴム足によって、キーボード、または、デジタイザが机などに触れることもないという(写真=右)世界初「3DMark 11」デモは「Deep Sea」で
MSIのブースで行われた「3DMark 11」のデモンストレーションでは、すでにムービーとスクリーンショットが公開されている「Deep Sea」テストが実際にPCで動作したほか、ベンチマークテストの設定内容の一部が明らかになった。
Futuermarkが開発する3DMarkシリーズは、3Dグラフィックス処理の性能を測定するベンチマークテストで最も広く使われているタイトルで、3DMark 11は、2010年の第3四半期に登場が予定されている次世代バージョンだ。DirectX 11への対応とともに、テッセレーションなどの新しいグラフィックス技術を取り入れたことが特徴とされている。
デモで表示されたセッティング項目には、3DMark Vantageのように、「Entry」「Performance」「Extreme」といった負荷条件が事前に用意されていた。設定できる項目は解像度、アンチエイリアスのサンプル数、テクスチャフィルタリングモード、異方性フィルタリング数、テッセレーションクオリティなど種類が限られているが、3DMark 11は依然として開発途上であるので、製品版で大きく変わる可能性がある。
従来、3DMarkシリーズの開発には多くのハードウェアベンダー、ソフトウェアベンダーがスポンサーとして協力し、その報酬として3DMarkベンチマークテストの中で、スポンサー協賛ベンダーのロゴマークなどが表示されてきた。3DMark 11では、MSIが唯一のスポンサーとして参加しており、ベンチマークテストで唯一のロゴマークとして表示されるほか、MSIの製品でバンドルも行われるという。MSIによると、3DMark 11がバンドルされた製品の出荷は9月ごろに予定しているとのことだ。

MSIのブースで“世界初”の3DMark 11のデモが行われた。内容はデモムービーやスクリーンショットなどで公開されている「Deep Sea」だ(写真=左)。デモで表示されたセッティング項目。開発途上なので、製品版で大きく変わる可能性がある(写真=右)。Express Cardスロットに接続する“外付けGPU”
ノートPCの拡張ユニットとして注目されているのがGraphics Upgrade Solution(GUS)だ。ノートPCのExpress Cardスロット(/34対応)に接続して、GUSに実装したPCI Express x16対応グラフィックスカードをノートPCのGPUとして利用できる。現在予定されているラインアップは、NVIDIAのハイエンドミドルレンジGPU、もしくは、ミドルレンジGPUを組み込んだ2モデルとAMDの同じくハイエンドミドルレンジGPU、もしくはミドルレンジGPUを組み込んだ2モデル、そして、GUSユニットだけという5製品だ。出荷は2010年の9月、もしくは、10月の予定という。
組み込むグラフィックスカードが搭載するGPUは、出荷する時点でベストなモデルを選ぶとしている。ただし、ユニットに収まるグラフィックスカードでなければならないため、長尺のハイエンドモデルは組み込めない。また、現状でGPUのTDPは最大90ワットとされている。日本での出荷は現在検討中で、製品のラインアップも日本のユーザーに合わせて変更される可能性もあるという。

Graphics Upgrade Solution(GUS)は、Express CardインタフェースでノートPCと接続して、ユニットに組み込んだグラフィックスカードをノートPCのGPUとして動作させる拡張ボックスだ(写真=左)。POPに「Radeon」とあるので、Radeon HDシリーズ専用に見えるが、NVIDIAのGeForceシリーズも利用可能だ(写真=右)なぜ、AMDとiZ3Dの立体視技術を選んだのか?
液晶一体型PC(AIO)で立体視表示に対応した「AE2420 3D」では、MSIの資料で紹介された「3D Station technology」と立体視技術にNVIDIAではなくAMDを選んだ理由について説明があった。AE2420 3Dの立体視技術は、AMDのRadeonシリーズとiZ3Dの「3D Stereoscopic Driver」によるシャッター式がベースになっている。しかし、立体視対応サングラスはAMDと台湾ベンダーの「CMO」が協同で開発しており、MSIがAMDとiZ3Dの立体視技術とCMOの立体視対応サングラスを同社のAIOに最適化して実装させた。それぞれのベンダーが開発した技術をPCに統合する部分を指して、MSIは「独自の3D Station Technology」と呼んでいる。
すでに、多くの製品に採用されて先行するNVIDIAの3DVisoinでなく、AMDとiZ3Dがベースの立体視技術を採用した理由についてMSIは、「もともと、AIOにはコストパフォーマンスを重視してMobility Radeonシリーズを採用している。加えて、NVIDIAの3DVisionより画質が高く、ドライバのサポートもいい」と述べたのに加えて、「NVIDIAの3DVisonでは、GPUからサングラスまでNVIDIAの製品を使わなければならない。MSIとしては、GPUとサングラスの組み合わせを自由に選びたかったので、その可能性を残しているAMDの技術を採用した」と説明した。
MSIが開発を進める“次世代”UI
MSIのブースでは研究開発部門で進めているプロジェクトも紹介されている。その中の1つが、ユーザーのアクションで離れたPCを操作するマンマシンインタフェースだ。これは、PCに設置したカメラでユーザーの腕の動きを識別してPCの操作を行うものだ。ユニークなのは、2台のカメラを利用して距離を認識し、特定の距離で行われた腕の動きだけを検知して、ユーザー以外の動きを無視する仕組みを取り入れたところだ。
開発担当者は、「あと3~4カ月である程度の成果を出して、2010年にはこの技術を導入したノートPC、もしくは、AIOをリリースしたい」と述べている。

カメラで認識したユーザーの動作で離れたPCを操作するマンマシンインタフェースの開発では、2台のカメラを用いて特定の距離にある動きだけを抽出する技術を取り入れている(写真=左)。現在、左右の手を組み合わせて4つの動きを識別した操作が可能になっている(写真=右)関連記事
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