裏面照射型CMOSセンサーと「DiGiC 4」を組み合わせたノイズ低減/ダイナミックレンジ拡大システム「HS SYSTEM」とF2.0レンズを搭載した“攻め”のIXY、IXY 30Sが登場。
キヤノンは5月11日、コンパクトデジタルカメラ「IXY 30S」を5月下旬より販売開始すると発表した。価格はオープンで、実売想定価格は4万円前後。
“変革”をテーマとしたスピード感あふれるボディには、1/2.3型 有効1000万画素の裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「DiGiC 4」を組み合わせた、ノイズ低減/ダイナミックレンジ拡大システム「HS SYSTEM」を搭載。また、F2.0-5.3の明るいレンズ(35ミリ換算28~105ミリ相当)を搭載することで、夜景や室内などでもノイズの少ない高画質な撮影を可能とした。
高感度センサーとDiGiC 4の組み合わせは「PowerShot G11」(レビュー)、「PowerShot S90」(レビュー)にも採用されており、当時は「デュアルクリアシステム」と称されていたが(→永山昌克インタビュー連載:デジカメの画素数競争は終わった?――キヤノン「PowerShot G11」開発者に聞く)、IXY 30Sの登場にあわせて「HS SYSTEM」と改称された。HS SYSTEMでは撮影モード「AUTO」でもISO感度が最高1600まで上昇するほか、「IXY DIGITAL 220 IS」の同ISO感度撮影時と比較しても約60%のノイズ低減を実現しており、同程度のノイズであれば、約1.5段速いシャッタースピードでの撮影が行える。
レンズはIXYシリーズとしては初めて、F2.0からの明るいレンズを採用。この明るいレンズを搭載しながら本体の厚みは23.6ミリと、同じくF2.0からのレンズを搭載するPowerShot S90に比べて約7.3ミリの薄型化にも成功している(PowerShot S90のレンズははF2.0~4.9 35ミリ換算28~105ミリ)。
HS SYSTEMとF2.0の明るいレンズを搭載することにより、既存製品IXY DIGITAL 220 ISと比較した場合、HS SYSTEMによって同画質レベルであれば約1.5段のシャッタースピードで撮影が可能になり、また、レンズのワイド端開放F値が2.0のため(IXY DIGITAL 220 ISは開放F値2.8)さらに約1段シャッタースピードを上げることができるようになる。結果として、合計では約2.5段速いシャッタースピードでの撮影が可能となり、ブレの少ない撮影が行える。
CMOSセンサーの特徴である高速読み出しとDiGiC 4の処理能力を利用した連写機能も強力だ。フルサイズ(10メガ)で最高3.7コマ/秒の連続撮影がメモリカードの上限まで行えるほか、画像サイズを2.5メガまで下げれば最高8.4コマ/秒の高速連写が可能となる。また、画像サイズはQVGAとなるが240fpsで最大30秒間撮影し、30fps再生することでスローモーション映像を楽しむこともできる。
そのほか、撮影状況にあわせた撮影モードを自動的に選択する「こだわりオート」や1280×720ピクセルのハイビジョン撮影機能、レンズシフト式手ブレ補正機構、ISO6400の超高感度撮影を行う「ローライト」モード、ジオラマ/魚眼風撮影モードなどを備える。背面液晶は3型ワイド(23万画素)。サイズは100(幅)×54.1(高さ)×23.6(奥行き)ミリ、約175グラム(バッテリー、メモリカード含む)。
カラーバリエーションは「シルバー」「レッド」「ホワイト」「イエロー」「ブラック」の5色を用意。レッドとホワイト、イエローについては高光沢塗装で仕上げ、シルバーはブラスト仕上げとなっている。いずれも鏡胴リングはボディと同色で仕上げ、さらにその外周には質感の異なる極細リングを配置したデザインとなっている。
写真で堪能する“攻めのIXY”「IXY 30S」
キヤノンから登場する「IXY 30S」は、シリーズ初の裏面照射型CMOSセンサーやF2.0 レンズはもちろんのこと、そのスタイリングにも大きな特徴がある。“変革”をテーマとしたそのボディデザインをじっくり見てみよう。
キヤノンから5月下旬より販売開始されるコンパクトデジタルカメラ「IXY 30S」は、シリーズ初の裏面照射型CMOSセンサーやF2.0からの明るいレンズはもちろんのこと、そのスタイリングにも大きな特徴がある。“変革”をテーマとしたそのボディデザインをじっくり見てみよう。
IXYシリーズの特徴とも言える鏡胴リングやCurvature(湾曲、曲面)と呼ばれる優麗なデザインはそのままに、IXY 30Sではボディ前面から側面にかけては滑らかなカーブが多く設けられ、「スピード」や「スポーツカー」といった言葉を連想させるイメージを宿している。「確かにIXYなのだが、ひと味違う」という印象だ。
カラーはシルバー、ブラック、レッド、イエロー、ホワイトの5色が用意されており、ボディ素材にはいずれもステンレスを使用しているが、それぞれに仕上げは異なる。シルバーはざらついた質感を出すブラスト処理仕上げ、ブラック/レッド/イエローは3層塗装、ホワイトは下地/ホワイト/乳白色/クリアの4層塗装となっている。ステンレスは塗装のしにくい素材だが、新たな設備投入まで行うことで、この仕上がりを実現したという。
5色の中では比較的コンサバなカラーリングといえるのが、シルバーとブラック。いずれも表面はマット仕上げとなっており、落ち着いた印象となっている。その質感からは、腕時計や工具といった“金属的な道具”を連想させる。
一方、つややかな印象を受けるのがレッド/イエロー/ホワイトの3色。いずれも光沢のある仕上げとなっており、入念な塗装を施されたスポーツカーを連想させる。シルバー/ブラックや「IXY 10S」など既存モデルに比べると金属的な質感は抑えられており、非常に人目を引く仕上げといえる。
F2.0からの明るいレンズや3型ワイド液晶を搭載しながら、サイズは100(幅)×54.1(高さ)×23.6(奥行き)ミリ、約175グラム(バッテリー、メモリカード含む)に抑えられている。スリムさに重点を置いた「IXY 400F」や「IXY DIGITAL 220 IS」に比べるとやや大柄だが、十分、普段使いのデジカメとして携帯できる。
裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「DiGiC 4」を組み合わせた「HS SYSTEM」による映像については、追って紹介する。
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